19351203②致山本初枝

351203②致山本初枝



    拝啓永しく御無沙汰致しました。今日子供に下さる有平糖を—ついただいて有難う御座います。上海は寒くなりました。此頃近所は隨分にぎやかくなったのに又謡言が出来て多くの人が引越して仕舞ひ頗るさびしくなりました。内山老板の店も割合にひまの様です。夜になると殊にしづかで田舎に居る様な気がします。もとの通りになるには又半ケ年くらいかかりましゃう。老板の『生ける支那の姿』は出版したが、まだ見本しか見えません。増田一世は東京から手紙をよこしたが今にはもう家は帰てるでしゃう。私は不相変忙しく、書かなければならない為めです。倂し書く可きものがないから困ります。書きたいものは発表されない、近頃は大抵まづ何も考へないで、テ—ブルの前へ腰掛けて筆を手に押つける、そうすると何だか、わけの解らないものが自然に出て来て詰り矢張りいはゆる作文になるが人間も時に機械になる事が出来るものです。倂し機械になったら頗るつまらないから仕方なく活働写真に行きます。が、よいものはない。先月にジやック·ロンドンの『野性のさけび』を見ましたが実におどろきました。もう其の小説とすっかり違って居ります。今度は名著から取る活働写真もこりこりになりました。小供はもう前歯がかへて居ます。秋から幼稚園へやりましたが銅貨は大切なものであると云ふ有難い学識を習得しました。同学が種々なものを買って食ふ事を見たからです。倂し今度の謠言の為めに引越すものは多かったから今には同学はもう六人しか殘って居ません。その幼稚園も何時までつづくか解りません。

魯迅拝呈十二月三夜

山本夫人几下


译文
    拜启:久疏问候。你送给孩子的有平糖今日已经收到,甚感。上海已转寒。近来这一带正热闹起来,却又谣言四起,许多人搬走了,因此颇见冷清。内山老板的店里似乎也比较空闲。夜晚尤其静寂,仿佛在乡间一样。再要恢复原来样子,恐怕又须半年光景。老板的《活中国的姿态》虽已出版,但仅看到样本。增田一世曾自东京寄来一信,现已回家了罢。我仍很忙,因为不得不写。但苦于没东西可写,想写的则又不能发表。近来大抵是先什么都不想,在桌前一坐,把笔塞在手里。这样一来,自然而然地就写出了费解的东西睛,也就是说,做出了所谓的文章,有时人是可以变成机器的。一旦变成了机器,颇觉无聊,没办法,就去看电影。但电影也没有好的,上月看了杰克·伦敦的《野性的呼声》,大吃一惊,与原著迥然不同。今后对于名著改编的电影再不敢领教了。孩子在换门牙。从秋天起,送他进了幼雅园,他学到的宝贵知识是铜板有多么重要。因为看到同学在买各咱东西吃的缘故。但由于这次的谣言,搬家者很多,现在同学只剩下六个,还不知道这个幼雅园可以维持到几时。

鲁迅拜呈十二月三夜

山本夫人几下