19340111致山本初枝
340111致山本初枝
    拝啓、御手紙は有難く頂戴しました。私達は不相変無事で上海も不相変さびしく、そして寒くなって居ます。日本には何時でも行きたい行きたいと思って居ますが倂し今の処では行ったら上陸させないでしょう。よし上陸させても角袖をつけるかも知りません。角袖をつけて花見するには頗る変挺な洒落となるから暫く見合した方がよいと思ひます。先日あなたからいただいた御手紙にタヒチ—島に行きたいと書いてあると覚えて居ますが倂し実物は書物、絵、写真の上に見える様な美しいものではないだらうと思ひます。私は唐朝の小説を書く為めに五六年前に長安へ行って見ました。行って見たら意外の事、空までも唐朝の空らしくなく、折角、幻想で描いた計もすっかりぶちこはされて仕舞ひました、今まで一字もかけません。書物で考へた方がよかったのです。私は别に入要なものもありませんが只一つ頗る面倒くさい事を頼みたいと思ひます、私は一昨年から『白と黒』と云ふ版雑誌を取って居ますが限定版で注文が遅くなったから、一から十一号まで、又二十号、三十二号、あはせて十三冊手に入れる事が出来ませんでした。若し御友達の中に時々古本屋に行く御方があるなら注意して買入れる様に頼んで下さい。「白と黒社」は淀橋区西落合、一ノ三七番だけれども、第三十二号の外、本社にも殘本はないのです。倂しこれも必要なものではないのですから、なければ、一生懸命にさがす必要もありません。支那は中々安定にならないでしょう。上海には白色テロは益々ひど&くなって青年はつづいて行方不明となって居ます。私は不相変家に居ますが手掛がない為めか或は年を取ったからいらない為めかは知りませんが兎角無事です。無事なら先づ又生きて行きましょう。増田第二世の写真は私ももらひました、父親よりも立派だと云って返事を出しましたが第一世に少し失礼だと思ひます。倂しそれは事実です。
魯迅上一月十一日
山本夫人几下
译文
    拜启:惠函敬悉,谢谢。我们平安如常,上海还是很寂寞,天气也冷了。我一直想去日本,然而倘现在去,恐怕不会让我上陆罢。说不定也会派便衣钉梢。身后跟着便衣去看花,实在是离奇的玩笑,因此我觉得暂时还是等等再说为好。记得前次惠函中曾说起想去塔希提岛,其实我想实物决没有书本、画岫和照片上看到的那样秀丽。五六年前我为了写关于唐朝的小说,去过长安。到那里一看,想不到连天空都不像唐朝的天空,费尽心机用纵横驰骋想描绘出的计划完全被打破了,至今一个字也未能写出。原来不审凭书本来摹想的好。我不需要什么东西,但有一件颇麻烦的事相托。我自前年开始订阅版画杂志《白与黑》,虽限定版,我又订迟了一些,缺一至十一期,又二十期、三十二期,共十三岫。倘贵友中有常到旧书店走动的,烦他代为留意购买。“白与黑社”的地址是淀桥区西落合一之三七号,但该社除了第三十二期外,已无存书。但这也不是什么非有不可的东西,倘没有,也不必费力去找。中国恐怕难以安定。上海的魄恐怖日益猖獗,青年常失踪。我仍在家里,不知是因为没有线索呢,还是嫌我老了,不要我,总之我是平安无事。只要是平安无事,就姑且活下去罢。增田二世的相片我也收到了。我回信说,他比父亲漂亮,想来这对一世有些失敬,然而是事实。
鲁迅上一月十一日
山本夫人几下
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