19201214致青木正儿

201214致青木正儿



    拝啓御手紙拝見致しました、支那学もつゞいて到着しました、甚だ感謝します。
    わたくしは先より胡適君の処の支那学であなたの書いた支那文学革命に对する論文を読みました、同情と希望を以って然も公平なる評論を衷心より感謝します。
    わたくしの書いた小說は幼稚極なものです、只だ本国に冬の様で歌も花もない事を悲んで寂寞を破るつもりで書いたものです、日本の読書界に見せる生命と価値とを持って居ないものだろ-と思ひます、これから書くは又書くつもりですが前途は暗澹です、こんな環境ですからもっと諷刺と咀咒に陥るかも知りません。
    支那に於ける文学と芸術界は実に寂寥の感に堪りません、創作の新芽は少しく出て来た様ですけれども生長するかど—かさっぱり解りません、『新青年』も近頃随分社会問題にかたむいて文学方面のものは少なく成りました。
    支那の白話を研究するには今に於いて実に困難な事であると思ひます、唱道したばかりですから一定した規則なく各人銘々勝手な文句と言葉とを以って書いて居ります、錢玄同君等は早く字引を编纂する事を唱道して居るけれども未着手しません、若しそれが出来たら随分便利になるだろ—と思ひます。
    日本文をこんなにまづく書いて差上げる事にしました、御許を願ひます。
青木正児様

周樹人 十一〔十二〕月十四日



译文
    拜启:惠函奉悉,《中国学》亦已收到,甚感。
    先前,我在胡适君处的《中国学》上,拜读过你写的关于中国文学的论文。衷心感谢你怀着同情和希望所作的公正评论。
    我写的小说极为幼稚,只因哀本国如同隆冬,没有歌唱,也没有花朵,为冲破这寂寞才写的,对于日本读书界,恐无一读的生命与价值。今后写还是要写的,但前途暗淡,处此境遇,也许会更陷于讽刺和诅咒罢。
    中国的文学艺术界实有不胜寂寞之感,创作的新芽似略见吐露,但能否成长,殊不可知。最近《新青年》也颇倾向于社会问题,文学方面的东西减少了。
    我以为目前研究中国的白话文,实在困难。因刚提倡,并无一定规则,用词、造句皆各随其便。钱玄同君等虽最就提倡编篡字典,但尚未着手。倘编成。当方便多了。
    我用这么拙劣的日文给你写信,请原谅。
青木正儿先生

周树人 十一[十二]月十四日